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特別ブログ「仲間の体験談」

今年もあと1カ月を切りました。徐々にクリスマス・年末の雰囲気が増していくんだろうなと思っています。ずいぶん日も短くなってきましたよね。

この2024年も多くの出会いがありました。SNSでもフォロワーさんが増えて、いろんな人のお話を伺う機会が増えています。3疾患とも患者数が少ない病気。こうしてやり取りできるのは貴重だなと思っています。いつもありがとうございます。

病気のことを話せる・聞ける機会は少ない

多発性硬化症(MS)の国内推定患者数は18,000人、視神経脊髄炎(NMOSD)は6,500人、MOG抗体関連疾患(MOGAD)は1,700人くらいだといわれています。
MSのあらまし「多発性硬化症とは」
NMOSDのあらまし「視神経脊髄炎とは」
MOGADのあらまし「どのような人に多いか」

患者数は少ないですよね。NMOSDとMOGADは特に。同じ病気の人は周りにはめったにいないと思います。病名を伝えても「知らない」と言われることがほとんどなのではないでしょうか。

そうすると、生活の中で病気のことを話せる機会もなく、他の人の話を聞ける機会もなく、たぶん多くの人が、ネットで同じ病気の人の話を探し、それに触れているのではと思います。

もう30年近く前のことなりますが、私もMSと診断された時、情報をできるだけ集めて同じ病気の人の話を読み、この人はこういう症状なんだなとか、こういう治療を受けているんだなとか、参考にさせていただきました。当時のMSの患者数は4,000人台。キャビンを始める前の話です。

とある集まりで女性に言われたこと

診断されて間もない当時で、今も鮮明に覚えていることがあります。

とある患者の集まりに参加した時のこと。私はまだ20代前半で、会場に入ると50代くらいの車いすの女性が近寄ってきて、ニッコリこう言いました。

「元気そうね。私もあなたくらいの時は、そんな感じだったのよ」

ほめられているのか何なのか複雑な気持ち。年を重ねたらこの人のようになっていくのかな、車いす生活になるのかなと思いました。ですが、私ももうその人と同じくらいの年齢になりますが、車いす生活ではありません。

今と昔とでは診断・治療環境が全く違うから、この時の話と今を同じには語れないです。でも「個人差を理解する」という点は、今も昔も変わらないと思います。

頭に入れておきたいこと

SNSや個人のブログなど病気の体験談に触れる時は、最低でも次の3つだけは頭に入れておくといいかなと思います。

① 個人差を理解する
3疾患とも個人差が大きい病気です。症状の出方も治療の反応性も病気の経過も、人によって違います。同じ病気でも全然違う病気のように見えることもよくあります。個人差があることは常に、覚えておいてほしいです。

病名を確認する
2004〜2005年頃、MSからNMOSDが枝分かれしていきました。そして近年、MOGADも分かれつつあります。そういう歴史があって、今でも3疾患を一緒に扱うことが多いのですが、3疾患とも別の病気です。その体験談が何の病気の話なのか、確認するようにしてください。

③ 主治医への相談を最優先に考える
体験談はその人個人の体験です。病気の理解や認識も、その人の主観が入っていることがあります。体験談はあくまでも参考程度にして、ご自身の病状に関することは主治医と相談することを最優先に考えてください。病状や治療など大事なことを他の人とのやり取りだけで解決することは避けてほしいです。

終わりに

同じ病気の人の話は、病気との付き合い方の参考になりますし、励みにもなると思います。いちいち説明しなくても分かり合えて楽ですし、やり取りを重ねていくと1人じゃないって思えますよね。

どれも日本では少ない病気だけれど、仲間がいます。その仲間が発信してくれている大事な体験談。読む側としても、上記3つに注意しながら大切に触れていきたいです。

今月は恒例のフォーラム。何人の仲間が集まってくれるかなと想像しています☆
(文:中田郷子 編集委員監修済)

2024年12月1日更新
2022年12月6日公開

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