多発性硬化症(MS)

病気の起こり方

免疫系の異常によって起こる病気

人間の体は「免疫系」によって細菌やウイルスなどの外敵から守られています。この免疫系に何らかの異常が起こり、自分の体の組織を外敵と勘違いして攻撃してしまう病気があります。このような病気を総称して「自己免疫疾患」といいます。どの臓器・細胞が攻撃されるかによっていろいろな病気があります。

MSもこの自己免疫疾患だと考えられています。攻撃対象は脳、脊髄、視神経の神経細胞の「軸索」を覆っている「ミエリン」です。

◉軸索(じくさく):神経細胞体から出ている1本の長い突起
◉ミエリン:軸索を覆っているもの

ミエリンが壊されると

神経系の情報は電気信号でやりとりされているのですが、ミエリンが壊されるとその部分の信号が上手く伝わらなくなり、視力障害、運動障害、感覚障害など、様々な神経症状が出てきます。

ミエリンは日本語で「髄鞘(ずいしょう)」といい、この髄鞘が攻撃されて脱落するため、この現象を「脱髄(だつずい)」と呼びます。脱落した部分を「病巣(びょうそう)」または「病変(びょうへん)」といいます。

多発性硬化症の「多発」

多発性硬化症の「多発」には、病巣が「繰り返し(時間的多発)」「あちこちに(空間的多発)」できるという2つの意味があります。病巣が繰り返しあちこちにできるのが特徴だということです。
(2023/10/27更新)