[更新記録]
2024/10/09
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2022/07/27
ページ公開
MSキャビンの把握では現在、下記の治験が行われています。参加条件が決められているのと、治験は一部の医療施設でのみ行われているため、希望する方がみなさん参加できるとは限りませんが、興味がある方は主治医に聞いてみてください。
多発性硬化症
- トレブルチニブ(tolebrutinib)
ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬。経口薬。
対象:再発型MS、一次性進行型MS、再発を伴わない二次性進行型MS
→詳細はこちら(外部リンク) - フレキサリマブ(frexalimab)
抗CD40モノクローナル抗体。静脈注射。
対象:再発型MS
→詳細はこちら(外部リンク)
対象:再発を伴わない二次性進行型MS
→詳細はこちら(外部リンク) - レミブルチ二ブ(remibrutinib)
ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬。経口薬。
対象:再発性のMS
→詳細はこちら(外部リンク)
視神経脊髄炎
- ラブリズマブ(ravulizumab)
抗補体モノクローナル抗体製剤。点滴薬。
対象:2歳以上18歳未満のAQP4抗体陽性NMOSD
→詳細はこちら(外部リンク)
MOG抗体関連疾患
- サトラリズマブ(satralizumab)
抗IL-6受容体抗体製剤。皮下注射。
対象:再発性のMOGAD
→詳細はこちら(外部リンク) - ロザノリキシズマブ(rozanolixizumab)
抗FcRnモノクローナル抗体製剤。皮下注射。
対象:再発性のMOGAD
→詳細はこちら(外部リンク)
3疾患の人が治験に参加するメリットとデメリット
中島一郎先生(東北医科薬科大学病院)より
疾患により状況は異なると思いますが、多発性硬化症(MS)、視神経脊髄炎(NMOSD)、MOG抗体関連疾患(MOGAD)に関する治験のメリット、デメリットはだいたい下記のとおりです。
メリット
・承認前の新薬で治療を受けられる
・治験に関連した医療費が原則かからない
・治験に関連した通院・入院費用を負担してもらえる(治験参加による交通費などの患者さん負担を減らす目的で「負担軽減費」が通院時あるいは入院時に支払われます。通常、1回の通院につき7,000円が支払われます)
デメリット
・一定期間偽薬(プラセボ)に割り当てられる可能性がある
・診察や検査で通院頻度が多くなる
・治験中は避妊が求められる
・他の医療機関での診療をすべて報告する必要がある
・長期の治験で軽症例が指定難病から外れる可能性がある
参加条件と実施施設
中島一郎先生(東北医科薬科大学病院)より
治験は偽薬や対照薬との効果の比較が目的になることが多いので、活動性の高い患者さんが対象になります。治験によって参加できる条件が異なりますが、MSとMOGADに関しては歩行可能な成人で、過去1年間に再発の治療歴があり、合併症や禁忌薬の使用がなければほとんどの治験に参加可能です。
また治験は、実施する医療機関や医師の負担がとても大きいので、実施できる施設が非常に限られています。神経免疫疾患の治験は通常全国の10~20程度の施設で行われています。実施施設は公開されませんので、主治医を通じて治験担当窓口に問い合わせていただく必要があります。
関連用語
- 二重盲検試験
参加者を2つのグループに分けて、治験薬か偽薬(または既存の薬)を投与。どの薬が投与されているかは、医師にも患者さんにも知らされない臨床試験の方法。 - 非盲検試験
どの薬が投与されているか、医師にも患者さんにも知らされている臨床試験の方法。 - ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬
B細胞を標的とする薬。ケシンプタ®がCD20陽性B細胞を一掃するのに対して、BTK阻害剤は「新たなB細胞の成熟」を抑制します。正常なB細胞には影響を及ぼさず、MSにとって悪いと考えられるB細胞(自己反応性B細胞)を選択的に除去できるのではないかと期待されています。– バナナチップス119号より。116号に関連情報あり